シンポジウム
2022年2月3日(木)Web開催
酪農現場のリスク管理を考えるⅢ ~見えない敵から牧場を守る~
主催者挨拶
雪印メグミルク株式会社 酪農総合研究所所長 戸邉 誠司
皆様、こんにちは。雪印メグミルク酪農総合研究所の戸邉でございます。日頃より私ども雪印メグミルクグループ並びに酪総研の取組みに対しまして、ご支援とご協力を賜っておりますこと、心より御礼申し上げます。
さて、2020年1月に国内初感染が確認された新型コロナウィルスも、ワクチン接種が進み、昨年秋に新規感染者数が減少傾向になり、やっと日常の生活が戻ってきたところでありましたが、新たな脅威でありますオミクロン株が急速に拡大し、多くの都府県で「まん延防止等重点措置」が適用され、再度我慢の日々を余儀なくされています。
今回のシンポジウムにつきましても、当初は会場での実参加とリモート参加のハイブリッド開催を予定していましたが、急遽完全WEB開催への変更となり、皆様方には大変ご迷惑をおかけいたしました。急遽の変更でありましたが、本日は200名を超す皆様にエントリー頂きまして、誠にありがとうございます。これからはウィズコロナで、万全な感染対策を実施しながら、コロナと上手く付き合っていく事が必要なのかもしれないと感じております。
酪農乳業界に目を転じますと、コロナ禍の影響で業務用需要が大幅減少するなど、年末年始には処理不可能乳発生の恐れがありました。業界関係者はじめ国や多くの皆様のご尽力により、何とか回避することが出来ましたが、コロナの影響は長期化しており、乳製品在庫が過去最高レベルに達している状況であり、現在、生・処・国一体となって過剰在庫解消に向け取り組みを進めているところです。新たな需要を喚起することなどと合わせて、適正な生乳需給を保てるよう業界全体で取組んでいく事が重要だと改めて感じております。
私どもは、安全・安心な牛乳乳製品を消費者の皆様に安定供給することが大きな使命であり、そのためには、北海道ばかりでなくようやく都府県でも回復してきた生乳生産基盤を、出来る限り維持・拡大していく事が今後の酪農乳業の発展には不可欠ではないかと感じます。私ども乳業メーカーも可能な限り尽力してまいりたいと考えておりますので、生産者の皆様並びに関係者の皆様方に置かれましても、ご理解ご協力賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
さて、今年度の酪総研シンポジウムは、一昨年からのテーマ『酪農現場のリスクを考える』の第3弾として、「見えない敵から牧場を守る」をサブテーマに開催致します。酪農現場での伝染病、感染症というリスクにフォーカスを当て、防疫(バイオセキュリティ)について取り上げることとしました。
グローバル化の進展、家畜飼養形態の変化、新興国における畜産の急激な拡大などの様々な要因によって、感染症の脅威は年々増大しています。わが国においては、2000年に92年ぶりに口蹄疫、2004年に79年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザ、2018年に26年ぶりに一度清浄化した豚熱が再発生しました。このような経緯もあり家畜伝染病予防法の一部が改正され、飼養衛生管理基準が大きく見直されたところであり、家畜の飼養者には衛生管理に一層配慮しながら生産を営む責務が出てきております。
本日は、以上のような観点から3名の先生にご講演頂き、講演後総合討議を行いたいと思います。
まずお一人目は、「宮崎酪農からのメッセージ~口蹄疫の脅威を伝える~」 というテーマで、宮崎県経済農業協同組合連合会 酪農飼料部 部長 大村賢太郎 先生に、宮崎からリモートで講演して頂きます。なお、大村部長におかれましては、2月1日付けで、経済連の関連会社「株式会社ミヤチク」へ異動されたとのことで、大変ご多忙の中、ご講演頂きまして誠にありがとうございます。本日の資料は、宮崎経済連様の名称のまま使用しておりますので、どうぞご了承下さい。
お二人目は、「牧場を守るワクチネーション最前線」というテーマで、北海道ひがし農業共済組合 根室西部事業センター 診療2課 診療課長(獣医学博士) 加藤肇 先生に、根室からリモートで講演して頂きます。
お三方目は、「酪農現場での乳房炎の発生要因とその対策」というテーマで、雪印種苗株式会社 事業本部 トータルサポート室 岡本武史 先生に、この会場から講演して頂きます。
本日リモートで参加頂いている皆様方からも、活発なご質問・ご意見を頂ければと思います。限られた時間ではありますが、どうぞ宜しくお願い致します。
シンポジウムの講演内容を着実な成果に結びつけていくためには、本日ご参加の酪農生産者の方々、酪農に関わる関係者や研究者の方々など、生産現場に携わる皆様が連携し、課題解決の方策について、地域の仲間に、そしてこれからの担い手にしっかりと伝えていく事が、今後の酪農産業のさらなる発展のために重要なことであると思います。
最後になりましたが、本日のシンポジウムが課題解決に向けての一助となる有意義なディスカッションの場としていただくことを祈念致しまして、開会の挨拶とさせて頂きます。本日は宜しくお願い致します。
以上