シンポジウム
2015年(平成27年)1月28日
乳牛飼養管理技術の向上-日本型飼養管理の方向性-
主催者挨拶
雪印メグミルク株式会社 代表取締役社長 中野 吉晴
只今、ご紹介いただきました雪印メグミルクの中野でございます。
本日は大変ご多忙の中、酪総研シンポジウムにこのように多くの方々のご参加を頂きまして、誠に有難うございます。
酪農総合研究所としてこのようなシンポジウムを開催させて頂いて、本年で38年目となります。これもひとえに、関係者の皆様のご理解とご支援の賜物と重ねて御礼を申し上げます。
ご案内のように、今年度の酪総研シンポジウムは、「乳牛飼養管理技術の向上」、副題として「日本型飼養管理の方向性」をテーマとさせて頂きました。
現在、飼料価格の高止まり等による酪農経営への影響やTPPをはじめとした経済連携の動向など、酪農乳業を取り巻く環境は、先行きが極めて不透明な状況であります。
生乳生産基盤の弱体化が懸念され、乳製品需給も不安定になるなど、日本の酪農乳業は今大きな岐路に立たされていると思っております。
こうした中、様々な対策が取られておりますが、まずは基本である安価で良質な飼料の調達と適切な飼養管理による低コスト生産を実現すること、そして、様々な制度や施策を有効に活用し、生乳生産基盤の早期回復、安定化に結びつけていくことが大切だと考えております。
本日ははじめに農林水産省畜産振興課長の小林先生より、「我が国酪農施策の展開方向について」、次に、雪印種苗の松本先生から、「乳牛のモニタリングの活用事例」、そして、酪農学園大学准教授の泉先生からは「濃厚飼料削減への近道」のご講演をいただきます。いずれも時宜を得たテーマではないかと考えております。
ご講演で紹介されることと思いますが、国政レベルでも畜産・酪農の成長産業化や生産力の強化、需要拡大のための技術開発、自給飼料の生産拡大、経営安定化などの施策が推進され、生産基盤の回復が目指されています。
畜産・酪農は本来、循環型農業を実現できる持続可能性の極めて高い産業であります。また、地域におきましても地域の核となる重要な産業であり、コミュニティの形成においても必要不可欠な存在であります。特に、地域の関係事業者の連携・結集による地域ぐるみの畜産クラスターの構築による高収益型畜産体制構築は、重要な施策であると認識をしております。
また、我が国の牛乳・乳製品市場を輸入品や代替品に、安易に明け渡すことは避けなければならないと思っています。一度、海外の乳製品や代替品に取って代わられた市場を取り戻すことは極めて困難であります。
生乳生産が増加しても、生乳の行き先が無いといった事態は日本の酪農の持続的成長の大きな障害になると考えております。生産基盤の早期回復と国産乳製品の需要拡大、そして国内需給調整機能の維持は極めて重要であり、待った無しの喫緊の課題であると認識しております。
今こそ畜産・酪農が地域の中心となり、関係者が一体となって酪農産業を持続可能な産業へと成長させていくことが必要であります。
着実な成果に結びつけていくためには、本日ご参加の酪農生産者の方々、酪農に関わる関係者や研究者など酪農生産現場にたずさわる皆様の英知の結集と連携が何よりも大切であります。
本日のシンポジウムが参加者の皆様の連携のきっかけ作りの場となれば幸いでございます。
雪印メグミルクグループにおきましても、雪印種苗や酪農総合研究所が生産者の方々と連携して進めている自給飼料生産の拡大とその活用のための「実証圃場」や「実証農家」の調査研究、地域における牧草の植生改善などに取り組んでおります。
加えて、新たな取組みの一つとして、雪印種苗は、標茶町様と標茶町農業協同組合様と共同で農業生産法人「TACSしべちゃ」を設立し、低コスト型経営を追求した草地型酪農のモデルとなるべく取組みを推進してまいります。
これらの取組みを通して、日本の酪農の発展に少しでもお役に立てればと考えている次第でございます。
最後になりますが、改めて本日のシンポジウムが有意義なディスカッションの場として、地域での取組みや課題解決に向けての一助とることを期待いたしまして、簡単ではございますが、開会のご挨拶とさせていただきます。
本日は宜しくお願い致します。
以上