シンポジウム

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2014年(平成26年)1月31日

国産飼料を最大限に活かした酪農の再構築Ⅱ-地域の取り組み事例と課題-

「土・草・堆肥」作り

北海道大樹町(有)太田牧場代表取締役 太田 福司 氏

1.牧場概要

乳牛飼養頭数 298頭(うち経産牛頭数169頭)
出荷乳量 1,154t(H20)1,357t(H23)1,574t(H24)
耕地面積 98ha(採草地のみ)
労働力 家族4名、雇用2名
飼料給与方式 ミキサーフィーダーによる1群管理(泌乳牛)
粗飼料体系 Ⅰ番、Ⅱ番サイレージを混合し(Ⅰ番:Ⅱ番 65:35)
通年給与
牛舎 フリーストール牛舎(160床:80・80床)、キング式牛舎1棟、育成牛舎2棟
搾乳施設 16頭ロータリーパーラー
その他施設 堆肥舎(旧体育館)、D型ハウス堆肥醗酵槽、パーラー雑排水処理施設
哺育・育成牛 哺育センター預託(~6ヶ月)、町営牧場(夏季に一部)

2.自給粗飼料生産の取り組み

  • 「堆肥(土)作り」
    • 完熟堆肥作り
      • 昭和58年に払い下げられた中学校の体育館を改造増築し、町内で最初に屋根付き堆肥舎を建設。
      • 平成10年には、フリーストール化に合わせ、D型ハウスと堆肥撹拌機を導入。
      • 搾乳牛フリーストール牛舎の糞尿はD型ハウスで発酵、その際に焼成貝殻ホタテを堆肥に混ぜ込む(40t/年)。
      • 育成牛と乾乳牛の糞尿は堆肥盤にてバークを混合して水分調整を行う。
      • 上記の両方を体育館堆肥舎で混ぜ合わせ、年間を通じて均一な堆肥作りを実施。
  • 「草作り」

    圃場は雑草の侵入や裸地がほとんど見られない。8年経過した圃場でも5年経過した圃場とほとんど変わらず良好な状態を維持できており、草地の耐用年数を延ばすことが出来た。

    • 草地更新
      • 通常の草地更新はⅠ番草収穫後に始め播種まで2ヶ月であるが、1年以上かけて播種床作りを行う。
      • 牧草種子は、約25年間変わらずチモシー、アルファルファ、ラジノクローバーの混播。播種量はそれぞれ反当り1.5kg、0.5kg、0.1kg。
      • 石が多く出てくる大樹町の圃場の特性対策としてストーンピッカーを用いて石取りを行っている。
        Ⅰ番草収穫後 除草剤散布 ロータリーハロー
        プラウ耕起
        翌春 ストーンピッカーによる石取り
        夏~播種 ロータリー・デイスク作業 計6回程度
    • 草地維持(2年目以降)
      • 化成肥料を25kg/10a散布(割高ではあるがBBS650を使用)
      • Ⅱ番草収穫後の9月下旬から完熟堆肥の散布、全圃場に4t/10a投入
    • 雑草防除

      我が家の草地管理、最大の特徴は徹底的に雑草、特にギシギシを手で抜き取ること。特に、新播草地は播種後、維持草地は収穫時や収穫後に行っている。

    • 圃場へのダメージ低減の工夫
      • 圃場にダメージを極力与えないために、作業機のタイヤを大きくしている。
      • 春以降に草地に入る最初の作業機はモアコンディショナーになるよう作業体系を工夫し、接地圧を下げている。
  • その他の取組
    • パーラー雑排水処理施設から出る汚泥を草地に還元
    • 乳製品工場から出る乾燥汚泥の使用
    • 雪融け後、裸地化を防ぐため手作りのパスチャーハローを使用して堆肥の粉砕

3.課題と対策

  • 飼養頭数増加により既存の施設では糞尿処理が限界に近づいている。
    ⇒糞尿攪拌機の更新あるいは新たな方法
  • 草地面積の増加により更新間隔が長くなり古い草地での雑草が目立ち始めた。
    ⇒既存の草地更新と併せて簡易更新の検討

4.まとめ

  • 酪農の根幹である「土(堆肥)作り」「草作り」の基本を忠実に実施・循環させることが足腰の強い酪農基盤を作ることになる。
  • 時間をかけて「堆肥作り」「播種床作り」することにより良好な植生を長期間維持できる。

圃場の植生状況 (%)

  イネ科 マメ科 雑草 裸地
太田牧場(4圃場 4~8年) 54 30(AL22、CL8) 8 8
十勝管内(管内3,595圃場) 36 8 44 10

*調査時期が異なるため参考程度

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