シンポジウム

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2010年(平成22年)1月28日

国内外における企業、団体等の再編動向とその対応について-変貌する市場環境において酪農乳業はどう対応していくか!-

第1講演『JA道東あさひの設立と展望』

道東あさひ農協組合長 原井 松純 氏

1.はじめに

今回のシンポジウムは“国内外における企業、団体の再編動向”という大変大きなテーマであるが、私からは、根室管内「道東あさひ農協」が昨年4月にスタートしたわけで、こういった酪農の時局の中で、酪農生産者が、どういった選択をしたかということと、事業展望について、ご紹介させていただく。

2.合併に至った経過

  • 私どもの地域は、国家プロジェクトであった「新酪農村」事業が、900億円ほどかけて展開されたが、平成5・6年頃、(私が理事になったのは、平成6年)その当時、新酪の負債問題が社会問題になる等、大きな問題となり、私どもの農協も大きな貸倒れ損失を計上し、組合員さんの経営問題を整理した状況にあった。
  • 平成13年に、個人の経営をどうするかということで「合併研究会」を設立した。組合長会の諮問を受けて、平成15年3月まで、営農問題に係わる研究会を続け、一つの選択肢として、将来合併すべきという答申を出した経過にある。
  • 「合併検討委員会」が設立されたのは、平成16年度で、その「合併検討委員会」と「推進委員会」を経て昨年(平成21年)4月に合併したということである。
  • 根室管内の、別海町、そして行政枠を越えて根室市の4農協が合併し、本年度は、38万1千トン位の乳量枠が確保できる見通しで、将来を模索した結果が、この合併だったということになる。

3.合併のねらい

新酪農村事業が展開したということで、大きく突出した経営体が多いわけで、家族経営の限界を超えるような生産乳量を確保するような経営体が多くなっており、一方、個人的な家族経営もあり、農協としても、それらの経営に、どうやって営農支援していくかということで、私どもが選択したのは、こういった合併ということになる。

4.私どもが目指すべきJA像

  • 皆様ご承知のように酪農経営は、極めて経営側からして、過重労働のような感があるが、その中でも、経済的な問題と、そこに生活する組合員の生活とを両立させるということで“豊かで潤いのある農村生活を確立するため、協同の力をもって、そういった組合員の負託に応えられるJA”になっていこう、ということである。
  • 今コントラクタで収穫する形態が多いわけであるが、そういった“質の高い営農支援システムを構築するなど、地域農業の振興と酪農経営の発展に貢献できるJA”
  • 農協の使命であります、組合員経営の支援ばかりでなく、“「食」と「緑」を守り、地域に根ざした協同組合としての役割を発揮し、農業の振興を通じて地域社会に貢献するJA”
  • 皆さんご承知のように、私ども日本の酪農はわずか30年余で欧州並に近づいたとされるが、生活の部分では、ヨーロッパには素晴らしい、美しい農村がある。私ども組合員個人の経営経済を確立するとともに、やはり、そういった“美しい酪農郷の建設にも貢献するJA”を目指してゆきたいと思っている。

5.「JA道東あさひ」の概要

設立の平成21年4月1日現在の、(1)位置図、(2)組織構成、(3)生産概要、(4)JAの事業ボリュームを下図に示している。

6.「JA道東あさひ」の事業展望 (重点取り組み事項)

  • 激動の時代を乗り切ることのできる、優れた農業人づくり
  • 酪農経営体を減らさない、地域農業資源の円滑な継承
  • 生乳以外の作目による、付加価値の確保対策
  • 組合員の豊かな暮らしの実現
  • グリーンツーリズム等の推進による、理想の酪農郷づくり
  • 環境と調和した産業発展
  • 草地基盤・排せつ物資源の有効活用

7.「JA道東あさひ」の事業展望 (高位平準化に向けて)

○合併による地域拡大と旧組織が有していた高位技術を広範に普及し平準化を目指す。

○旧組織では成し得ない人材の集約と専門性を有する人材育成を図り、関係組織の連携のもと横断的事業連携機能を強化する。

●営農事業全体の戦略構築部署として、営農センターを設置した。

(1)営農センターの位置付け、連関図

(2)営農支援システム、体系図

その具体的な取り組みは、

  • 担当職員のスキルアップと計画的な現場対応能力向上に向けた職員構成
  • 酪農経営・生産技術に係わる技術者を外部から登用
  • 組合員経営をサポートする各種システムの企画立案
  • 複雑・多様化する組合員の相談機能の強化
  • 営農・生産に係わる各部署・関係機関との連携

8.サイレージ品質向上プロジェクト

(1)取り組みの経過

(2)調査内容

○サイレージの発酵品質は前年度と比較して、大きな改善が認められ、次年度以降も継続して対処する。

9.草地簡易更新プロジェクト

(1)取り組みの経過

(2)プロジェクト概要

○デモ実演実施圃場の継続調査及び組合員への情報提供

○JA道東あさひ全支所管内にて簡易更新デモの実施検討

○導入機械の利用促進

○植生改善について、マメ科(アルファルファ)の導入を推進し、栄養価の高い牧草づくりに努め、購入飼料費の削減を実現する。

10.まとめ

「道東あさひ農協」は、日本列島で一番朝日が早く昇る開拓の大地であり、706戸の組合員の英知を以って、21世紀の豊かな酪農村の建設を目指し、更なる努力を重ねる所存である。

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