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広報「酪総研」

時の話題

NO.25-1 主催者挨拶 雪印メグミルク株式会社 常務執行役員 酪農総合研究所長 池浦 靖夫

 本日は皆様ご多忙のなか、酪総研シンポジウムに260名を超える多くの方々の申し込みをいただき、誠にありがとうございます。

 さて我が国の酪農乳業界ですが、高齢化や担い手の不足による酪農家戸数の減少は止まらず、近年、生乳生産基盤の弱体化が大変憂慮されてきました。このため私ども酪農総合研究所は、この喫緊の課題である生乳生産基盤の維持・回復に向けて、この3年間「酪農現場のカイゼンを考える」をシリーズテーマとしてシンポジウムを開催してまいりました。この間、酪農現場で発生するロスや、牛作りにおけるロス等について実態と対策を展開し、昨年度は規模拡大や新規設備への投資・導入といった大きな投資を伴わずにできる少額投資で生産性の向上を目指すことをテーマにシリーズとしてシンポジウムを開いてまいりました。

 シンポジウムの成果なのかどうかは分かりませんが、国内の生乳生産量は国による「畜産クラスター事業」や、酪農乳業界が一体となって取り組んだJミルクの「増頭・生産対策」の効果もあり、全国ベースでの乳牛頭数が一昨年以来増加に転じ、2019年度は4年ぶりの増産となる見通しとなっています。

 現在、5年毎に行われる酪肉近基本方針の見直しが進められていますが、その過程でも、10年後の生乳生産目標を現行の750万tから引き上げる増産の方向で審議が進んでいると聞いています。

 しかしながら私ども酪農乳業界は、TPP11・日EU EPAそして日米貿易協定の発効と、乳製品の貿易自由化が着々と進展するとともに、頻発する自然災害、改正畜安法で顕在化した諸問題、さらには生産現場での労働力不足、そしてSDGs推進への対応など多くの課題、潜在的リスクに直面している状況です。

 そこで今回から本シンポジウムでは「酪農現場のリスク管理を考える」を新たなシリーズテーマとして設定し、現在直面している課題そして今後顕在化してくるであろうリスクへの対応を複数年にわたって取り上げていく所存です。

 本年度はその第1弾としまして、酪農を取り巻く環境リスクの中から気候変動をテーマとして取り上げています。昨今、地球温暖化に起因する気候変動が世界各地で起きています。わが国でも昨年、強風・大雨を伴った超大型台風10号、15号、19号が本州を襲い、各地で大きな被害を引き起こしました。また、北海道でも2016年には連続して4つの台風が接近・通過し、十勝・オホーツク地方で甚大な被害を引き起こしたことは記憶に新しいところです。さらに本年、全国的に暖冬な中(昨日来道東・オホーツク地域は大荒れになっていますが)北海道でも降雪量が少なく例年であれば雪で埋まる草地・畑が露出したままになって、このままでは土壌凍結の被害や春先の干ばつ、農作業の遅れが懸念される状態となっています。このような気候変動が引き起こす異常気象が酪農現場に及ぼす被害は近年ますます増大し、頻発化し、軽視できない要因となっています。

 改めて、本年のシンポジウムは酪農現場のリスク管理を考える中で、気候変動に備えることをテーマに企画し、「気候変動の実態と将来」・「自給飼料生産への影響」・「気象データの高度活用」に焦点を当て講演をいただいた後、「自給飼料生産をメインとした気候変動に備えるリスク管理について」総合的に意見交換をいただきたいと考えています。

 初めに『「温暖化」どうなる北海道』というテーマで 一般社団法人 日本気象予報士会 北海道支部 副支部長 気象予報士の志田昌之先生に、続きまして『気候変動が自給飼料生産に及ぼす影響と栽培管理技術の対応』というテーマで 雪印種苗株式会社 トータルサポート室 主査の佐藤尚親先生に、最後に『地域気象サービスを活用した自給飼料生産』というテーマで 有限会社浜頓別エバーグリーン 相談役の佐々木二郎先生にご講演をお願いしていたところですが、佐々木先生は昨日からの天候不良・大雪によって家から出られないため、本日は佐々木先生に代わり 東宗谷農協 経済部 営農サポート 考査役の伊藤正英先生 に講演をお願いしています。それぞれの講演は生産現場での自給飼料の生産性を高めるための重要な視点からのご指摘、改善策のヒントをいただけるものと確信しています。無論、気象条件に大きく依存する自給飼料生産への影響の方向やその程度を的確に予想することは難しいですが、長期的な自給飼料生産の方向性や気候変動への対応の検討を行うことは重要であることは言うまでもありません。自然に抗うことはできませんが、自然に対する畏怖の念を忘れずにリスクを分析し、自然の恩恵を維持していくことが酪農の持続的な発展に結びつくものだと思います。

 私ども雪印メグミルクグループにおきましても、生産者の方々と連携して進めている「自給飼料生産の拡大とその利活用のための調査研究」・「地域における牧草の植生改善」などの取り組みを通して、微力ながら生乳生産基盤の維持回復に向けて貢献できるよう今後とも取り組んでまいります。

 最後になりますが、本シンポジウムが生乳生産現場における課題解決に向けての一助となり、有意義なディスカッションの場としていただきたく、皆様にお願い致しまして開会挨拶とさせていただきます。

 本日は宜しくお願い致します。

以上

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