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No.24-4カイゼンの道しるべ 「乳検データ」の活かし方を考える 公益社団法人 北海道酪農検定検査協会 乳牛検定部 検定課 課 長 佐坂 俊弘 氏

 乳検データは、経営改善に繋がるヒントが多く掲載されていることから「宝の山」に例えられます。その一方で「十分に活用できていない」という声を頂戴することも少なくありませんでした。

 その解決に向けて、シンプルでありながらも経営に役立つ情報の提供方法を検討し、平成27年に牛群検定WebシステムDL(以下、DL)をリリースしました。

 平成30年4月には、農場をサポートする皆様を対象とした「DL支援者版」の運用を開始し、地域全体の課題解決ツールとして普及拡大に取り組んで参りました。

 本日は、皆様方それぞれの「カイゼン」のお役に立てるよう、システムの具体的な活用方法をご提案したいと考えています。


 ビジネス用語にKKDという言葉があります。これは、経験のK、勘のK、度胸のDの頭文字を取ったもので、長く酪農経営を支えてきた要素のひとつです。一方で、多頭化や従業員雇用、作業の外部化が進行した今日では、農場に関わる人達のベクトルを統一するためには、データに基づく意思疎通、意思決定が求められています。

 乳検情報は、過去から現在までの牛群管理が反映された結果であり、農場内外での課題共有、仮説検証に有用な材料となります。本日ご紹介するDLは、その情報を最小の労力で使いこなすためのツールに他なりません。


 DLは、乳検情報をベースに、@繁殖管理、Aバルク情報連携、B損失の見える化 の3つの機能で構成され、大半の情報が自動で更新されます。月1回の乳検情報に、更新頻度の高い繁殖情報、バルク情報を加えることで、取り組みの検証サイクルを従来よりも高速で回すことが可能となります。

 「バルク情報連携」機能では、牛群全体の栄養管理、乳質管理に使えるバルク情報と牛群構成、動態を把握できる乳検情報を組み合わせ、より踏み込んだ分析を行うことができます。

 「損失の見える化」機能では、従来の数字中心の情報提供とは異なり、利用者のデータ分析スキルに極力依存しない情報提供を目指しています。特にベンチマークの概念を取り入れた「総合グラフ」は、課題発見と共有のアイテムとして高い評価を頂いています。


 DL支援者版では、検定情報の利用場面(人・場所・機会)の拡大、更にはデータ分析に係る支援者の労力低減を開発コンセプトに掲げています。

 現在、JA、普及センター、TMRセンター等での利用が広がっており、57団体で延べ2,249農場のデータが利用されています(平成30年12月現在)。

 TMRセンターで飼料設計を担当している方を例に挙げると、自動で反映される構成員全体の出荷乳量、バルク乳成分の変化やトレンドを確認し、設計内容の検証に活用していただいています。また、授精業務や繁殖検診の場面では、システムの繁殖情報を利用して畜主との情報共有を図る授精師や獣医師も増えてきています。

 担当される業務によってシステムの利用方法は様々ですが、利用者からは「データ収集や加工に費やす時間を大幅に短縮できた」との評価をいただいています。忙しい支援者の皆様の時間や労力が「生産現場でのコミュニケーション」にシフトされることを期待してやみません。


 リリース以降、皆様のご要望に沿えるよう、新たな機能や情報を拡充して参りました。

 今年度には、乳中ケトン体情報の提供を開始し、潜在性ケトーシスが疑われる個体のスクリーニングが可能となりました。特にお勧めしたい情報に「周産期対策レポート」があり、経営ロスに直結する周産期管理のカイゼンに役立つ情報を掲載しています。

 バルク情報では、出荷毎の乳成分測定値やFFA(遊離脂肪酸)の提供も開始しており、飼料設計を担当される方にも一層満足いただける情報に進化しています。

 今現在の取り組みとしては、平成30年4月に検査サービスを開始した妊娠関連糖タンパク検査(PAGs検査)の結果反映やWeb申し込み機能を開発している他、診療データとの連携にも新たにチャレンジをしているところです。

 本システムを利用いただき、仮説・検証のサイクルを繰り返し実行することによって、生産性の向上はもとより、課題解決のノウハウを効率的に蓄積することも期待できます。

 今後とも生産者や支援者の皆様に広くご活用いただけるよう、価値の高い情報提供に取り組んでいきたいと考えています。 

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