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広報「酪総研」

時の話題

NO.24-1 主催者挨拶 雪印メグミルク株式会社 常務執行役員 酪農総合研究所長 池浦 靖夫

 本日はご多忙のなか、酪総研シンポジウムに多くの方の参加をいただきまして、誠にありがとうございます。

 近年は世界的な異常気象により日本でも毎年多くの自然災害が発生し、昨年も多くの災害に見舞われた一年でありました。豪雪、豪雨、猛暑、台風、地震、とりわけ北海道においては昨年9月6日に発生した北海道胆振東部地震により多くの死傷者を出し、家屋の損壊など甚大な被害が発生したことはまだ記憶に新しいところであります。改めて亡くなられた方のご冥福をお祈り致しますとともに、被災者の方々にお見舞いを申し上げます。

 北海道ではこの地震により今まで経験したことがないブラックアウトという現象を経験し、我々の日常生活も産業も大きな影響を受ける結果となりました。しかしながら自然災害による被害はブラックアウトだけではなく、あらゆる災害に対してどのようなリスク管理や準備をおこない、どのように対処すべきかを酪農乳業界のみならずサプライチェーン全体で一体的に解消する必要があることを認識する年になったのではないでしょうか。

 少々話題が変わりますが、酪農乳業界は依然として高齢化や担い手不足による酪農家戸数の減少が止まることを知りません。特に都府県の酪農においてそのことが顕著になってきており、生乳生産基盤の弱体化がいっそう深刻な状況になっていると考えます。2015年に策定された酪肉近においては、購入飼料価格の高止まり、後継者・担い手不足、乳牛頭数の減少という3つの課題が問題提起され、改善に向けた取り組みが開始されています。その課題のうち乳牛頭数においては全国ベースで総頭数が増加し、とりわけ2歳未満の頭数については一昨年から顕著に増加しています。これは性判別精液利用者の増加や分娩時の事故防止、さらには子牛の事故率低減対策などの実施による効果が現れてきたのではないかと考えています。ただ乳牛頭数の増加は北海道が中心であり、都府県では個体価格の高騰から導入が進まず頭数の回復には至っていないのが現状です。

 冒頭で申し上げましたが、最近では自然災害による被害が多く発生します。都府県で消費される飲用牛乳を北海道からの生乳移出や産地パックに頼る状況では安定的な供給が望めない状況であると考えます。そのため都府県でも消費者が求める需要に応えられる生乳生産を果たしていくことが益々重要になってくるのではないでしょうか。幸いなことに近年は国内における牛乳乳製品の需要が回復基調にあります。発酵乳、生クリーム、チーズの需要が増加し、そして長期漸減傾向となっていた飲用牛乳の消費も下げ止まりになったことが大きな要因であると考えています。国産牛乳乳製品の需要拡大チャンスを輸入乳製品に取って代わられることが無いよう、北海道のみならず都府県の生乳生産も回復に向かうよう行動していくことが非常に重要だと考えています。

 一方、外に眼を向けてみると乳製品の貿易自由化は着々と進展しています。昨年末にはTPP11が発効し、日EU・EPAも2月1日から発効されます。こうした動きが国内需要に対してどのように影響を及ぼすか先行き不透明であり、不安感が払拭されません。将来の不安材料を取り除いていく対策がまだまだ必要ですが、同時に生産現場において持続可能性の高い酪農経営のためにロスを減らしムダを省く、こうした地道な取組みが何よりも重要であると私ども酪総研は考えています。

 このような状況を踏まえ、私どもは「酪農現場のカイゼンを考える」と題して過去2年間シンポジウムを開催してきております。今回はそのシリーズ3回目となり、「少額投資で生産性の向上を!」というテーマをもとにシンポジウムを企画しました。本日は家畜行動学を利用した飼養管理の改善、光環境制御による生産性向上の効果、牛群検定成績の活用という観点から大きな投資をしなくても生産性向上につながる内容に焦点を当て、生産現場で利用できる改善方法についてご講演いただく予定です。はじめに「牛の行動を基に施設や飼養管理を見直す 〜人も牛も幸せに〜」と題し酪農学園大学教授の森田茂先生から、続きまして「酪農における光環境制御の効果とそのメカニズム」と題し国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 上級研究員の粕谷悦子先生、そして「カイゼンの道しるべ 「乳検データ」の活かし方を考える」と題し公益社団法人 北海道酪農検定検査協会 検定課 課長の佐坂俊弘先生にそれぞれご講演をお願いしています。それぞれの講演は大きな投資をすることなく生産現場での生産性を高めるための改善の方法論であります。重要な視点からご指摘をいただけると期待しています。

 今後の酪農産業の更なる発展のためにも、本日ご参加いただいた生乳生産現場に携わる皆様が課題解決の方策を仲間や担い手と一緒に語り、しっかり伝え、今日の講演内容を着実な成果に結びつけていただきたいと願っています。

 私ども雪印メグミルクも雪印種苗とともにグループを挙げ、引き続き生産基盤の回復強化のために取り組んでまいります。

 最後になりますが、本シンポジウムが生産現場における課題解決に向けての一助となる有意義なディスカッションの場としていただきたく、皆様にお願い致しまして開会挨拶とさせていただきます。

 本日は宜しくお願い致します。

以上

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