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広報「酪総研」

時の話題

NO.22-1 主催者挨拶 雪印メグミルク株式会社 常務執行役員 酪農総合研究所長 池浦 靖夫

 只今、ご紹介いただきました雪印メグミルク酪農総合研究所の池浦でございます。
 本日は、皆さま大変ご多忙の中、酪総研シンポジウムに、このように多くの方のご参加を頂きまして、誠にありがとうございます。

 わが国酪農は、依然として高齢化や担い手不足による飼養戸数の減少が継続しています。全国の生乳生産量は今年度に入っても、1.5%程度の減少を続けており、生乳生産基盤の弱体化が止まらないという状況が継続しています。しかしながら、前年9月から、乳牛飼養頭数のうち2歳未満の頭数が前年を上回って推移するなど明るい兆しも見え始めてくるようになりました。また北海道の生乳生産は下期以降2%台の伸びを示しており、回復の基調が感じられるようになってきました。

 農林水産省では、一昨年度より「畜産クラスター事業」を実施し、地域ぐるみで高収益型の酪農畜産を目指し、大型で効率的な酪農畜産経営の推進や後継牛確保のための対策を打ち出しています。また昨年からは「酪楽事業」として、酪農家の働き方改革を推し進めるために、労働負荷軽減・省力化、飼養管理技術の高度化等に必要な施設の導入促進などの施策が展開されています。いずれも弱体化しつつある生乳生産基盤を維持確保する取り組みとして評価されているものと認識しております。

 一方、制度面では50年間継続した、いわゆる「不足払い法」が廃止され、今年4月より「改正畜安法」が施行されることになっています。生産現場では、新制度がうまく運用されていくかといった心配、危惧がいまだに多いのではないかと感じています。さらには日欧EPAやTPPイレブン協定による農林水産物への影響について、当面は国内需給への悪影響は回避の見込みであるとしつつも、長期的には国産の脱脂粉乳・チーズの価格下落等が生じることで、加工原料乳価の下落が予測されるなど、今後に向けた不安材料が多くあることも否めません。

 今年度、Jミルクが「酪農乳業産業基盤強化特別対策事業」として、生乳生産基盤の強化、国産生乳需要基盤の確保、生乳需給の安定のための緊急的な取組みを推進、実施することを決めました。中でも生乳生産基盤維持のための「乳用牛資源緊急確保事業」は、乳業者も資金を拠出して生乳生産基盤強化への対策を行うという画期的な事業です。酪農乳業がベクトルを一致させ、乳牛頭数の維持・増頭を図っていかなくては、生乳生産の維持あるいは増加、牛乳乳製品需給の安定は望めません。

 本年度の酪総研シンポジウムは、【酪農現場の“カイゼン”を考えるU】、副題として「牛づくりにおけるロスとその対策」をテーマとして企画し、『繁殖成績の向上』『分娩前後の事故率低下』『乳牛の安楽性と長命連産』という乳牛頭数の維持のために必要な3つの側面に焦点を当てて、生産現場で、今まさに発生しているロス(損失)の実態とその対策について、講演をいただきます。

 はじめに、「高泌乳牛の繁殖成績の現状とその改善について考える」というテーマで、酪農学園大学教授で農食環境学群学群長の堂地修先生に。続いて、「母牛と子牛のための分娩管理」というテーマで、株式会社石井獣医サポートサービス代表取締役の石井三都夫先生に。そして、「カウコンフォートの経済効果と未来」というテーマで、北海道農政部生産振興局技術普及課畜産試験場技術普及室上席普及指導員の椋本正寿先生に、それぞれ講演をお願いしています。

 繁殖成績を向上させ効率良く多くの乳牛を作ること、分娩前後に胎子も生まれた子牛も母牛にも異常がなく、さらに、長く元気に牛を飼うこと、それぞれが、乳牛頭数の維持拡大、持続的な酪農経営のために必要であり、重要な視点からのご指摘をいただけると思います。

 シンポジウムの講演内容を着実な成果に結びつけていくために、本日ご参加の酪農生産者の方々、酪農に関わる関係者や研究者の方々など、生産現場にたずさわる皆様が連携し、課題解決の方策について、地域の仲間に、そして、これからの担い手にしっかりと伝えていくことが、今後の酪農産業のさらなる発展のために重要なことであると思います。

 雪印メグミルクにおいても、雪印種苗とともに、生産者の方々と連携して進めている自給飼料生産の拡大とその活用のための「実証圃場」や「経営実証農家」の調査研究、地域における牧草の植生改善などの取り組みを通して、微力ながら生乳生産基盤維持のためのお手伝いができるよう取り組んでまいります。

 最後になりましたが、本日のシンポジウムが課題解決に向けての一助となる、有意義なディスカッションの場としていただきたく、皆様にお願いしまして、開会のご挨拶とさせていただきます。
本日はよろしくお願いいたします。

以上

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