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No.20-3「乳牛のモニタリングの活用事例」 雪印種苗株式会社 北海道統括支店 技術推進室長 松本 啓一

1.はじめに
 モニタリングとは乳牛の外貌や行動などを観察することにより、乳牛が発している様々なサインを察知することです。
 モニタリングを行うことにより疾病の兆候を見つけ、早めに対処出来ます。また、コンディションを良くすることにより生産性を高めることが出来ます。モニタリングの中でも、その状態を数字化するものをスコアリングと言います。ボディコンディションスコアやロコモーションスコア等のスコアリングの特徴は誰もが特別な技術無くして見ることが出来、見る人が代わっても同じものさしでスコアをつけることが出来る点です。
 我々技術推進室は顧客のトラブルシューティングを行う際に、モニタリングをひとつのアイテムとして用いています。モニタリングは乳検データと照らし合わせることにより、また調子の悪い牛がいた時は原因を畜主から聞き取ることにより、牧場の問題点がより鮮明になってきます。
 モニタリングの記録用紙は顧客が視覚的にわかるように工夫しています。また、牧場の牛が他の牧場に比べて、痩せているのか太っているのか、肢の状態はどうかといったものを数字的に示せるようにしています。数字をつけるということは自分の思い込みによって牛の状態を判断しないようにするためでもあります。牛群を最初にざっと見た時と、全頭スコアをつけていった後では牛群の状態に対する印象がずいぶん違う時があります。客観的に牛を見ることが出来るという点でもモニタリング(スコアリング)は優れていると思います。
 今回は、現地でモニタリングを行った際の集計結果や、モニタリングの現地事例についてご紹介いたします。

2.ボディコンディションスコア(以下BCS)
 私は入社25年目になりますが、BCSを習ったのは現在使っているもので3種類目になります。現在使っているBCSはファーガソン博士のUV法です。このBCSの見方の利点は、より具体的にスコアの基準を定めている点です。
 十勝、根釧で調査した110戸の牛群でBCSを集計しました。給与体系別に見ると、分離給与よりTMR給与は全体的にBCSが重めになっています。分離給与に比べるとTMR給与は栄養摂取状況が良い反面、泌乳後期、特に分娩間隔が長い牛でエネルギー摂取過剰になるためです。
 BCSを適正範囲にまとめるには、分離給与では泌乳ステージ、BCS、乳量に応じて濃厚飼料の給与量をメリハリつけることです。TMR給与では、@分娩後の状態を良くすること、A乳量、乾物摂取量を高めること、B繁殖成績を良くすることによってBCSを適正化します。BCSの重めの牛群は分娩直後の乳量は増える傾向にありますが、ケトーシス等の疾病は出やすい傾向にあります。そのため、BCSの重めの牛群は移行期の管理、飼養環境を良くして、乾物摂取量を高め、疾病が出ない管理をする必要があります。

3.ロコモーションスコア
 ジンプロ社が紹介しているものを用いています。それは牛を歩行させてスコアリングするものです。しかし、日本ではまだまだタイストールが多く、フリーストールにおいても通常飼養時に全頭歩かせるのは困難です。そこで、同じくジンプロ社から紹介されているフットシグナル(立っている状態での肢の状態の見方)を組み合わせています。
 蹄の病気は非感染性蹄病である蹄底潰瘍、白帯病、感染性蹄病である趾皮膚炎が蹄病の8割以上を占めると言われています。非感染性蹄病はいかに1日の横臥時間を長くするかがポイントとなります。また、横臥時間が長くなると乾物摂取量が増え、乳量も増加します。それのわかりやすい事例は砂の牛床です。砂の牛床はクッション性が良く、牛の横臥時間も長くなります。
 感染性蹄病である趾皮膚炎の原因菌であるトレポネーマ種は嫌気性菌なので、蹄を衛生的に保つことが重要です。顧客の中にはパーラー内で蹄を洗浄している方がいらっしゃいますが、それだけでも趾皮膚炎には効果があるようです。しかしながら、趾皮膚炎が多発してしまった牧場では、薬液のスプレーや、フットバスによる対応が必要となってきます。

4.糞洗いについて
 糞洗いは米国のNASCO社が販売している『Digestion Analyzer』を用いています。これは3層のふるいに分かれていて、上のふるいから下のふるいにかけてふるいの目が細かくなっています。最盛期の牛6頭から糞を採取混合し、それら約600gをホースによって洗い流していきます。見方は、@各ふるいの内容物の見た目、A各ふるいに残った内容物の割合で評価します。
 この糞洗いは開始してから3年になりますが、まだどのような評価に使えるか試行錯誤している状態です。但し、我々の部署では数百という回数の糞洗いを実施しているので徐々に傾向がつかめてきています。糞洗いの結果は、牛の状態による影響もあるのですが、やはり給与する飼料の状態に大きく影響されます。それが顕著に出るのがTMRセンターです。TMRセンターではどの牧場も似たような内容のTMRを給与しているので、糞洗いの結果もほぼ同じになります。そこからわかってきたのは、品質の悪い、もしくは切断長が長いサイレージを給与しているセンターは、上のふるいに残る長い繊維の割合が増えます。また、同じ牧場で経過を見るのも有効と考えています。例えば、同じ牧場で同じ飼料を給与していても暑熱時期には上のふるいに長い繊維やムチンが多く残ることがあります。

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