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広報「酪総研」

時の話題

No.19-6 総合討議

【シンポジスト(講演者)】

田中 二三男
雪印メグミルク株式会社 酪農総合研究所長
長嶋 透
株式会社長嶋 代表取締役
太田 福司
有限会社太田牧場 代表取締役
小島 友喜
JA道東あさひ 営農センター長

【座長】

高山 光男
雪印種苗株式会社 取締役研究開発本部長

【総合討議の内容】
(敬称省略)


高山座長

 本日のシンポジウムは昨年からの引き続きということで実施されました。昨年は安宅先生を含め3名の方がご講演をされ、要約しますと、各地域で行われている技術および組織のご紹介をしていただきました。

 今年は実際に現場で取り組んでいらっしゃいます長嶋さん、太田さん、そしてJA道東あさひの小島さんにご講演をしていただきました。

 本日のシンポジウムの目的は、現場で実際にやられている技術的な内容のご紹介です。会場には生産者の方もかなり来てらっしゃいますので、活発な意見交換が出来ればと思います。

 このようなシンポジウムはここ数年色々な所で実施されています。その背景には、先程中野社長さんがおっしゃられた様に、輸入飼料の高騰、穀物だけでなくて乾草などの粗飼料も高止まりしてしまったということです。

 今まで、穀物中心の輸入飼料依存で乳牛を飼ってきたため、当然飼料自給率が低下してきました。これから飼料自給率を改善するには、いかに国産飼料を有効に使っていくかということです。北海道におきましては、4〜5年前から草地をもっと有効に使おうという取り組みが各地で行われております。

 実際に草地に入って見ますと、道東あさひの小島さんや太田さんが紹介されましたように北海道に55万ha程の草地があますが、その半分は雑草です。道路から見るときれいな草地で観光客は喜んでいるのだと思いますが、半分が雑草では乳は搾れないと思われます。

 こういった背景により、本日のシンポジウムが開催されています。

 植生改善関係に取り組まれている組織を紹介しますと、私が間違っていればあとで修正していただきたいのですが、最初に取り組まれたのが十勝農協連さんの「飼料アップとかち」ではないかと思います。次に始められたのがJA道東あさひさんの「植生改善プロジェクト」、同じ時期だと思いますが、ホクレンさんが中心となって進められている「滝上のプロジェクト」、昨年から始められたのが釧路農協連さん、あるいは苫小牧広域農協さん、JA北オホーツクさん、道南の方でもやられていると思われますが、全道的に展開されています。これを一過性で終わることなく持続できる形にするために、本日のシンポジウムが役に立てばと思っております。

 本日は、私から各シンポジストへいくつか質問をさせていただき、その後会場の方から質問を出していただくという形で意見交換を進めていきたいと思います。


○酪農総合研究所の自給飼料生産拡大の取り組みについて

高山座長

 経営実証農家は地域の指導機関、経営面では酪農学園さんあるいはオーレンスさん、さらに地域の普及機関の方々と協力して取り組まれています。この取り組みで、大樹町および興部町の経営実証農家さんではいずれも酪農経営が向上したという実例を紹介していただきました。

 個々の技術の実証というのは結構取り組まれていますが、経営改善まで分析するのはなかなか無いのではないかと思います。

 三つほど質問させていただきます。

 最初は、経営実証農家の進め方についてです。雪印メグミルクグループからの資材支援等があって、うまくいったのではないかと思っている人がいるかと思われます。この辺りについてお聞きしたいと思います。

 次に、経営データの開示についてです。一緒に経営実証農家はやりたいけれど、組勘や個々の情報まで出したくないという人が多いと思いますが、酪総研さんはどうクリアされたのでしょうか。

 最後は、取り組みの広がりについてです。このような取り組みは、点で取り組まれている事例は結構ありますが、面としてなかなか地域の取り組みとしては広がっていかないことが多いかと思われます。経営実証農家の取り組みが、地域全体への取り組みとして波及した事例がありましたらご紹介して下さい。


田中

 今のご質問は、一つは資材関係とかその支援をしているのかという事だと思います。この取り組みの中では、生産者の方が日常的に使われている飼料や肥料といったものの支援は基本的にはしておりません。あくまでこれは自己負担でやってもらうのが基本だと考えております。通常の経営の中でその成果がどれだけ出てきたかということを確認し、実証するわけですから、その中で費用支援は考えていないという事です。

 ただし、この調査研究で我々グループが実施したいと思う事項、例えば品種の比較試験のような場合は、グループの試験費用的なもので対応することもあります。

 二つ目の取り組み農家さんの経営公開についてですが、現在取り組んでいる農家さんは、雪メググループが事務局をしている酪農青年研究連盟(酪青研)のメンバーで、その地域の当社酪農担当者と勉強会の実施等様々な酪青研活動を通して日常的に交流をしています。経営実証農家の方々には私どもの考える経営実証農家の取り組みに対して賛同をいただいて、経営成果の公表を快諾していただいた上で受けていただいております。

 これを成功させる実証農家のポイントとしては、やはり何よりも農家さんのやる気と熱意です。そして、先ほど説明を申し上げた周辺関係機関の方々の積極的なご参画を頂いて、この様な総合的な取り組みで成功しています。

 三番目の質問は、取り組みが点でしかないのではないかということですが、今取り組んでいる興部のI牧場さんですが、農協職員の方を始め、多数の関係機関の方々にご参加していただいています。農協が中心になり地域で植生改善の組織を立ち上げられるなどの取り組みについては我々グループも支援させていただいています。

 普及センターの方々にもご参加頂いており、得られた成果等を地域に広めていただいているという事例もあります。

 一牧場だけの成果に終わらないで、これを地域に広めていただけるようにするのが酪総研の最大の調査研究の目的です。そういった広がりを見せつつあるということで、今後も各地域にこのような取り組みを広げていきたいと思っております。道東あさひさんのように大々的にやっておられる所もありますが、まだ立ち上がってない所もありますので、そこを我々が少しでも支援できればと思っております。


高山座長

 概要を説明していただきました。

 実際的なところ、3年間という短期間の経営実証農家の取り組みの中で成果を上げる技術的なポイントはどこにあるのでしょうか。最初から経営実証農家に関わっている雪印種苗株式会社の浅沼さん、ポイントを教えていただけますか。企業秘密もあるかもしれませんが。


浅沼

 雪印種苗の浅沼です。

 平成21年から雪印メグミルクグループで経営実証農家の取り組みを開始して、もう5年経ちました。

 最大のポイントというのは、先ほど田中所長さんがおっしゃったように農家さんの情熱が一番だと思うのですが、私なりの考えを述べさせていただきます。

 まず一つ目は先ほど小島センター長が話をされた通り、まず畑にみんなで行って現地を良く知るというのが大事だと思います。遠くから見ているだけでは全く分かりません。先日も実証農家の巡回を実施し、雪の中を掘りおこして牧草の状態を確認しました。雪の下で今春の準備をしているペレニアルライグラスやオーチャードグラスに出会って、秋施肥が分げつにつながって、それが翌春の成果につながるのだと確認が出来ました。畑に行く事、実際現場で得られる事で認識が変わってくると思います。

 もう一つ、経営の成果という部分については天候の事もあり簡単にはいかないのですが、改善した草地の草をきちんと分けて管理することです。ごちゃごちゃにしてしまうと、成果が解らなくなってしまいます。必ずその草を分けて管理し、そしてその分けた草をどこで食わせるか、出来たサイレージをどのように食わせてゆくかを含めて考えていかないと、ただ畑に種播いて良かっただけでは儲かりませんので、そういうことも考えて行く事が重要だと思います。

 ただそう簡単には行くものではないですが、最初の取り組みは4年目で何とか結果が出てきて、それは間違いなく農家さんの経営を好転させることを実証できたと私は感じています。


高山座長

 興部のI牧場さんの名前が出てきていますが、興部は土壌条件的に非常に厳しい所ですが、I牧場さんと草地改善を進めている雪印種苗株式会社の龍前さんに、苦労話を伺いたいと思います。


龍前

 雪印種苗の龍前と申します。

 各地域で、専用播種機での更新を色々実施して頂きましたが、その中で失敗が多かったのが鉱質重粘土です。興部のI牧場さんの土壌がまさしく鉱質重粘土壌で、この草地をどのように改善していこうか色々と考えました。

 昭和40年代から試験場の先生方は鉱質重粘土壌に対して様々な試験をされていまして、そういった資料を参考にしながら一緒にやってきました。その中で、先行してやられていたJA道東あさひさんの表層攪拌法が非常に参考になった事を今でも記憶しております。

 鉱質重粘土壌の場合やはり有機物を入れて播種床を柔らかくして発芽初期生育を良くするのが重要です。実際それをやろうとしましたが、なかなかうまくいきませんでした。その中で、道東あさひさんのアッパーロータリーをかけて更新する工法が、非常に鉱質重粘土壌に合っていることが分かりました。

 更新方法についてはI牧場さんも工夫しながら表層攪拌という方法で実施し、播種床を柔らかくして発芽初期生育を良くして、非常に良い草地を作っています。

 しかし、その後の維持管理に課題が残っています。利用1年目の収穫作業が牧草にストレスをかけます。柔らかい土に重い作業機が入り、一気に土壌密度が上がってきます。維持の部分では、利用1年目で非常に大きな影響が出てきています。そういった部分のことについても色々I牧場さんと現地の普及所さん農協さん含めて検討しながら、リノベーターをかけるといった取り組みなどをしながら進めています。


高山座長

 太田さんは簡易更新を取り入れてみようとおっしゃっていましたが、表層攪拌法についてはどの様にお考えですか。


太田

 表層攪拌法について私は存じ上げておりませんでしたので、今はそういう方法があるのだなという程度です。

 簡易更新については、一昨年借りた畑においてシバムギがひどいので、そこをまず中心にやってみたいなと思います。

 表層攪拌法は表層を柔らかくし、大型機械が入ると不具合が出るという話でしたので、それは私の牧草地にはダメージを与えないという考えからすると、外れているかなと思います。


高山座長

 工法的にはロータリーで雑草をやっつけるのと同じですので、もし機会があれば道東あさひさんの方法を参考にしていただければと思います。


○牛乳の価値−インスピレーションのその後

高山座長

 一度、長嶋さんのところへ伺わせていただきました。水田といっても沢の中にあったりして、そこをうまく利用して耕畜連携をやっておられる。北海道、例えば十勝でいうと広大な畑作との連携といったイメージですが、冬作にホウレンソウを作っている畑を借りて夏は飼料用トウモロコシを作っている。水田農家はもちろんのこと、肉牛農家あるいは馬鈴薯農家などと北海道では想像できないような連携をやっておられる。また、これらを発展させてTMRセンターを立ち上げられ今年4月から稼働の予定です。

 会場からの質問を含めて、2〜3の質問をします。

 稲のホールクロップサイレージ(WCS)というのは、どれくらい取れるのでしょうか。飼料用トウモロコシとソルガムを混播して2回収穫して、どれくらいの生収量があるのでしょうか。


長嶋

 一般的な食用品種では反当たり約2t弱、専用品種は一昨年までは3.6〜3.8tで、これが上限かなと思っていました。しかし、稲作農家の方は稲をつくるプロですので、水の管理や追肥の管理が巧みで、昨年は「たちすずか」で4.8tとれました。国の制度設計の見直しに対しても、収量増によるコストダウンを実証することが重要だと考えています。

 飼料用トウモロコシとソルガムの混播は、夏の収穫で5t弱、その後ソルガムは再生しますので11月末から12月にかけて収穫し、多いところで3t、夏の収穫が遅いところでは少なく1.5tぐらいです。千葉における一般的な飼料用トウモロコシの収量は6t、多いところで7tです。


高山座長

 全道の牧草収量の平均は3t台で4tまでいっておりませんので、生産者の方もおられると思いますが、広さだけで満足しないで集約的な管理と品質に留意していただきたいと思います。長嶋さんへ伺った時、11月のソルガムは石垣島で齧ったサトウキビと同じぐらい甘くて驚きました。

 次に耕畜連携についてお聞きします。私の認識が間違っているかも知れませんが、府県の方がやりにくいのではないかという印象があります。例えばホウレンソウのような単価というか収益性が高い作物を栽培しているところでは難しい面もあると思いますが、どの様な形でやっておられるのか。


長嶋

 例えばホウレンソウ栽培農家は、ホウレンソウ30haのほかに大根を20haぐらいつくっている大型農家です。この事例では、相手が集団でなく個人であり相対で意思決定が早かったこと、双方の利益に叶ったホウレンソウと飼料用トウモロコシの適期作付け(圃場の適期交換)を実施したことが連携の成果に繋がっています。このように畑作との耕畜連携においては、迅速な意思決定と双方の利益享受がポイントとなります。

 稲作農家との耕畜連携については、水田は水が上の方から下の方へ流れることによって成り立っており耕作放棄の水田があると水田は機能しないことから、これを地域で何とかしたいという時に、WCSという国の事業に着目しました。この年は、米は日照不足で6〜7俵しかとれなくて稲作経営としては赤字の状態でした。そこで、我々の方から稲作農家に対してWCSの価格を提示しました。まずは収量をとって経営を補ってくださいと収量タイプの品種を提案しました。提案を受け入れた営農組合は全て専用品種を栽培し、黒字化しました。まずは、稲作農家に喜んでもらえるにはどうしたらいいのかを考えることです。


高山座長

 サイレージの品質を改善したポイントを教えてください。


長嶋

 良いWCSと悪いWCSをトラックで10種類ぐらい持ってきて、これがどこの水田で取れたのか、全部履歴で判ります。そうするとここの水田の人はいつまで水を入れていたから、ぬかるみが取れなくて土砂混入がおきて酪酸発酵してしまったとか、このようなことを皆で(履歴や分析結果と併せて)見るようにしています。稲作農家に理解していただくには、できあがったWCSの品質の優劣を目の当たりにして、どうして悪いWCSができたのか、良いWCSをつくるにはどうしたらいいのかを十分認識してもらうことです。まずは、稲作農家に現物と分析結果を見てもらって、品質の良いものをつくっていただくようにお願いしています。

 技術的な面でいうと、品質の良否は水分のコントロールがポイントです。また、香取市の全てのWCSには乳酸菌「畜草1号」を添加しています。稲作農家は米をつくるのはプロですが、サイレージをつくるのはアマチュアですので、乳酸菌を添加してB級品をつくらないようにしています。


高山座長

 本当に、すばらしいサイレージができています。この技術の活用について、北海道ではなかなかイメージが湧かないかも知れませんが、比較的面積が少ない道南あたりで活用される可能性がでてくると思います。


○『土』『草』『堆肥』作り

高山座長

 太田さんには「土」、「草」、「堆肥」作りの講演をしていただきました。太田さんの草地は私も見せていただいていますが、本当に雑草が少ない立派な草地です。

 Ⅰ番草刈取後に除草剤を撒いて、その後はロータリーをかけて、堆肥を播いて、プラウ耕起して、1シーズンかけて雑草処理をすることはなかなかできることではないと思います。それをずっとやり続けていることは本当にすごいことだと思います。

 質問ですが、トウモロコシを栽培しないで、アルファルファとチモシーに変えたきっかけと、また最近穀物相場が上昇している状況ですが今後もトウモロコシ栽培は考えていないのでしょうか。


太田

 20年前まではトウモロコシを作っていました。作らなくなった理由は、当時は圧ペントウモロコシの価格が安く、乳牛頭数も増加してきたので、外での作業をなるべく少なくしたかったからです。トウモロコシ栽培をやめてもやっていけることがわかりました。今後もトウモロコシ栽培は考えていません。ある程度良い牧草が獲れていれば、忙しい思いをしてトウモロコシ栽培をしなくても良いと考えています。

 昨年の大樹町の場合は、長雨で根腐れ病やススモン病が出たところに台風が来て倒れてしまい、サイレージ品質もあまり良くない状況でした。トウモロコシは何年かに1回はハズレの年があります。ハズレのあるものをわざわざ作ることはないのかなと思っています。コンサルタントに経営をみてもらっていますが、コンサルタントにトウモロコシ栽培をした方が良いと言われたらやりますが、今のところはこのままでいきます。


高山座長

 アルファルファとチモシーの混播草地ですと、大樹町では暖かくなるとアルファルファが伸びすぎて3回刈取の必要があるのではないでしょうか。また伸びすぎたアルファルファは翌年のサイレージに混入して発酵に悪影響が出る場合もあります。これらについて何か対策はしていますか。


太田

 アルファルファのV番草は50〜60cm位になり、使わないのはもったいないと思われるかもしれませんが、ずっとこういうやり方できました。翌年に枯れて白くなったアルファルファが残りますが、低刈りはしないのでそれほどサイレージ発酵に悪影響は無いと感じています。昨年はⅡ番草の刈取が例年より10日ほど遅くなりV番草が25〜30cm位だったので、今はむしろ草丈の低さを心配しています。


高山座長

 太田さんは、草作り、堆肥作りと牛がうまく繋がっていて見事な経営だと思います。

 会場からご意見を伺いたいと思います。道東あさひ農協の齋藤課長に伺います。太田さんのように、1年間かけて徹底的に雑草退治をすることについて、生産者の納得が得られるかどうか分かりませんが、どうお考えでしょうか。


齋藤

 道東あさひ農協の齋藤です。大変興味深くご講演を聞かせていただきました。太田さんは草地面積に余裕があると思われます。面積に余裕がある生産者で実施できればと思います。

 サイレージ調製について、質問があります。刈取後の水分調整を重要視されているということと、低刈りはしないということですが、刈取の高さと、その他にやられていることがありましたら教えて下さい。


太田

 刈取の高さは一般的に堆肥が混入しないと言われている15cmで実施しています。予乾については講演でも述べましたが、半日かけて乾かし、ツインレーキでウィンドローを2本から1本にまとめ、さらに半日予乾するのがちょうど良いと思っています。


高山座長

 太田さんは雑草対策を徹底的にやられ、10年程度維持できる草地を作られていますが、

 チモシー主体草地ですと大体6年でシバムギだらけになるというデータが根釧農試から出されています。私がお付き合いしている「草」で「乳を搾る」という考えの生産者の人達は、やはり6年位で更新しています。これを過ぎるとだんだんと乳が出ない草になってきます。これくらいの間隔で更新をしないと、植生改善が経営に反映されてこないのではないかと思っています。今日会場に来られている北矢ケレスの会の福本さんも大体6〜7年で更新されています。この間隔では経営がもたないといわれる方は、チモシー以外に、オーチャードグラスやペレニアルライグラスをうまく利用していくことも必要と思っています。

 道東あさひ農協さんも、更新率10%以上を目指してやっていただきたいと思います。

 会場からの質問です。追肥は秋だけで春は実施しないのですか。


太田

 9月下旬に実施するだけです。肥料散布をしてから堆肥散布をしています。


高山座長

 ホタテの貝殻を40t使用して、アルファルファ率が50%とするとちょうど良い計算になります。アルファルファはかなりカルシウムを吸収するので、定期的に土壌分析されると良いと思います。


○JAにおける植生改善の取り組みについて

高山座長

 道東あさひ農協さんは、全道の約1割の生乳生産量で、草地面積も5万haとほぼ一割の面積があり、まさに草で搾るということをやられています。

 最近はトウモロコシも良い品種があり、場所によっては実まできちんと入るので、これらを利用することが効率的ですが、ご講演は、まず草地を良くしていこうという内容でした。

 道東地区についてですが、マメ科を入れた草地において、播種限界は7月下旬と言われていましたが、現状は温暖化により秋も暖かくなってきているので、播種限界も変わってきているのではないかと思われます。この点について、上川農試天北支場の岡さん、ご意見ありますでしょうか。


 天北支場技術普及室の岡です。播種限界については気候の温暖化により9月に入っても問題が発生しないこともあります。試験場のデータが過去のものしか整理されていないので、新たに試験課題を設けて取り組むことになっています。早く新たな基準を作りたいと試験場も考えています。


高山座長

 会場にはJAの方もいらっしゃっていますが、北オホーツク農協さんも植生改善に取り組まれていて、道東あさひさんの取り組みは参考になったと思われます。突然で申し訳ありませんが、北オホーツク農協の平澤課長さん、ご意見がありましたらよろしくお願いします。


平澤

 北オホーツク農協の平澤です。昨年度に道東あさひさんのミニバージョンですが、植生改善計画会議という組織を立ち上げ、農家4戸で5圃場30町歩の更新をしました。道東あさひさんのやり方を参考にして、表層攪拌方式を取りアッパーロータリーを1台導入しています。

 昨年はⅡ番草前に大旱魃、その後に長雨があったことで畑に入ることができず、8月20日から9月10日までの間に播種する計画でしたが、地域の生産者のご理解とご協力をいただいて、何とか9月16日に終了することができました。

 この取り組みはまだ全体的なものとして普及していないので、大きな取り組みとなる様、努力していきます。


高山座長

 北オホーツク農協管内には、先程酪総研の講演にありました、経営実証農家のIさんもいらっしゃいますので、一緒に取り組まれて成果を上げることを期待しています。

 閉会の時間が迫ってきましたので、小島部長には申し訳ございませんがまとめに入りたいと思います。

 若い生産者の方は、まずやってみることだと思います。実際にやってみないことにはノウハウは身につきません。周囲にはたくさんの技術をもった組織・人がいますので、大いに利用していただきたいと思います。

 まとめに代えまして、ご講演をいただいた長嶋さんと太田さんに今後の展望をお聞かせいただきたいと思います。


長嶋

 4月にTMRセンターを完成してフル稼働にもっていくことが当面の目標です。

 長期的展望のなかで、今私が危惧しているのは、農業だけではなく産業全体を団塊の世代の人達に支えてもらっていますが、その人達が引退された時に、私はいったいどれだけの土地を耕さなければならないのかと、非常に危機感を持っています。まず、地域の農業基盤をしっかりさせないと、日本の国力がどんどん無くなっていくのではないかと心配しています。その時に我々はどれだけ力を発揮できるのか。そのためには地域での組織作りというのが重要で、こういうことをやっていきたいと考えています。


太田

 私の将来展望ですが、現在の生乳生産量は1,600t位ですが、1,800t位までは生産を伸ばしたいと考えています。土地、堆肥処理施設ももう少し拡大したいと思っています。

 長嶋さんが言われたようにこれからは個人だけでやっていく時代ではなくなってきていると思われます。国の政策も大規模農家への支援が重点になってきています。そういう状況なので、地域の若い人達にTMRセンター設立の声をかけていて、3〜4名から賛同を得ています。TMRセンターには300町歩の草地面積が必要ですが、その面積にちょっと足りない状態なので、設立に関しては現在考慮中です。


高山座長

 ありがとうございました。最初にご紹介がありましたが、長嶋さん、太田さんお二人は日本酪農研究会の経営発表で黒澤賞を受賞されていて、その時からさらにパワーアップされているという印象があります。次回お会いする時には、もっとすごいことをやられていることを期待しています。

 どうもありがとうございました。以上で総合討議を終了いたします。


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