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No.12 自給飼料『実証圃場』調査研究のまとめ 雪印種苗と雪印乳業の事業連携報告

 雪印乳業(株)と雪印種苗(株)が連携し、酪農生産現場の活性と持続的発展に資する目的で、昨春より、道内23ヶ所で、自給飼料の生産・利用に関する『実証圃場』調査事業を展開してまいりました。
 酪農総合研究所は、本調査事業の推進役を担ってまいりました。関係した多くのグループメンバーを代表し、ここでは、課題別に集約し、その総括と今後の展望をまとめてみました。個別の詳細などにつきましては、是非、ご照会下さいますようお願いいたします。

課題別の総括、及び今後の展望

【I】「作溝型更新機械」を活用した草地(簡易)更新(8ヵ所)

【II】イタリアンライグラスを活用した、「草地強害植物」(雑草)の抑制(4ヵ所)

【III】冬枯れ抵抗性アルファルファ『ケレス』の普及促進(6ヵ所)

【IV】耐病性F1トウモロコシ『ビビッド』などの普及促進(4ヵ所)

【V】冬作ライムギの導入(栽培)による、自給飼料作物の生産増強(2ヵ所)

【I】「作溝型更新機械」を活用した草地(簡易)更新

【技術要素】
 手軽な草地更新で、草地植生を改善することができる。
【汎用性】
 通常の更新の他に、(1)傾斜地では、土壌流亡を抑えることができ、(2)放牧地では、休牧期間を抑えることができ、(3)雪腐れ、冬枯れ草地では、速やかに植生を回復させることができる。
 美瑛町A牧場では、(1)+(2)の設定で、美幌町B牧場では、(3)+(2)の設定であり、それぞれプラスメリットを加算させることができ、汎用性は高いと言える。
写真-1 美瑛町A牧場追播ペレニアル放牧地 写真-2 美幌町B牧場 早期放牧開始
写真-1 美瑛町A牧場追播ペレニアル放牧地 写真-2 美幌町B牧場 早期放牧開始

【作溝型更新機械の比較】
 雪印種苗(株)北海道研究農場が所有する「シードマチック」と「ブレド」について、いろいろな場面で、比較検討が行われている。
写真-1 美瑛町A牧場追播ペレニアル放牧地 写真-4「シードマチック」による作溝播種跡
写真-3 手前「ブレド」、奥「シードマチック」 写真-4「シードマチック」による作溝播種跡

 中川町C牧場では、両機種の比較が(2)の放牧地の設定で行われている。まだ、結論を出せる段階ではないが、融雪直後の植生調査では、「シードマチック区」×「早めの放牧開始区」が良好と判断されている。
【経済性】
 雪印種苗(株)研究農場の試算では、完全更新と比較し、約55%の費用(289,200円/ヘクタール)で更新でき、経済的な有利性も高い。(酪総研シンポジウムレジメより)
【問題点】
(1) 機械の貸しまわしの状況では、播種作業遅れが生じやすく、致命傷となりかねない。
(2) 歩く程度のスピ−ドで、ゆっくりした作業が必要で、スピードをあげると失敗しやすい。
【今後の展望】
(1) 「完全更新」は、土壌改良に重点がおかれ、土壌改良資材や堆肥を充分に投入(活用)できるメリットがある。ただし、作業料、資材費ともに割高となり、更に、作業日数もかかる。
(2) この「簡易更新」はまさに、上記の逆となるが、【汎用性】でふれたようなシチュエーションでは、有利性が増してくる。
(3) 単に低コストに引かれて採用するのではなく、長所と短所を把握して、長所を如何なく発揮できる場面で採用することが、望まれる。
(4) 草地面積が100ヘクタールを超える農家、経営体が増えており、コントラクターを含め、草地管理機械の一つに「作溝型更新機械」を所有する時代が到来するものと思われる。
この場合、適期播種作業が可能となり、本技術要素の最大の問題点をクリアーすることが容易となる。

【II】イタリアンライグラスを活用した、「草地強害植物」(雑草)の抑制

【技術要素】
 生態学的な雑草の抑制法、環境にやさしい手法といえる。
【導入場面】
 「シバムギ」「リードカナリーグラス」「ギシギシ」等が沢山存在する圃場を更新するには、事前にそれらの強害雑草を叩いて、清浄な圃場を準備することが必要となる。
 一般的には、除草剤が使用されるが、漁業との関連で、「禁止」または「不使用」とされる地域があり、そこでは、この技術要素が力を発揮することとなる。
【汎用性】
 上記のシチュエーション以外では、(1)もともと除草剤を使いたくないという人、(2)有機牛乳の生産と取り組む経営体(グループ)など、(3)今後は、イタリアンライグラスの魅力をより取り込もうという人、などへ時間をかけて拡がりを見せるものと思われる。
【抑制メカニズム】
 イタリアンライグラスの優れた初期生育と伸張性を活かし、強害雑草を被圧し、刈り取り後も、イタリアンライグラスはより早期に再生し、被圧を続けることで、衰退をはかる。この方法を2ヵ年継続することによって、実害が無い程度に抑制する。
写真-1 天塩町イタリアンによるリード抑制草地 写真-2 幌延町イタリアンによるリード抑制草地
写真-1 天塩町イタリアンによるリード抑制草地 写真-2 幌延町イタリアンによるリード抑制草地

【問題点】
 北海道では、通常、一年〜短年利用のイタリアンライグラスは利用(栽培)されておらず、その草種特性が把握されていない。従って、イタリアンライグラスの特性を把握するところからのスタートとなる。
 II番草での充分な被圧を実現するには、 I番草刈り取り後の、窒素肥料の追肥が必要となり、本年実施の、天塩町、幌延町では、この対応が欠けていた。窒素成分で40キログラム/ヘクタールが基準となる。(農家心理として、この段階での追肥は抵抗があるのかも知れない。)
【経済性】
イタリアンライグラスの種子代は、牧草の中でも安価なほうで、物財費ベースでは、除草剤処理と大差がない。しかし、2ヵ年という期間をどう評価するのか、今後の課題でもある。2ヵ年イタリアンライグラスをしっかり栽培し、収量を上げてゆくことが、抑制効果、経済性の両面で得策と言える。
【今後の展望】
(1)この技術要素の定着は、当面、除草剤が使えないエリア・生産手法に限定されてくる。
(2)今後、リードカナリーグラス主体草地の栄養価、嗜好性改善の技術要素として採用される可能性もあり、「実証圃場」での今後の展開を見守りたい。
(3)単収をあげ、かつ、高栄養というイタリアンライグラスの利点が、今後は、畑酪地帯で活かされる可能性もあり、そのようなニーズがあれば、「実証圃場」として展開させたい。
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