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時の話題

No.7 北海道酪農の新たな発展に向けたチーズ増産と条件 北海道農政部食の安全推進局畜産振興課酪農グループ 主査(牛乳乳製品) 瀬川 辰徳

牛乳・乳製品の需給構造
 我が国の牛乳・乳製品の総需要量は、生乳換算で約1,200万トン(平成17年度実績)、そのうち国産が約800万トン、輸入が約400万トン。この総需要量の約4割の500万トンが飲用で、残り約6割は乳製品。また、輸入品のうち270万トンがチーズとなっている。

【全国の生乳需給 】

 一方、本道の生乳生産量は、全国の約5割を占め、そのうち約3割が飲用、残り7割が乳製品に仕向けられる。飲用のうち道内消費は3割で残りは産地パック、生乳形態で道外に移出されていることから、飲用牛乳等の需要動向により、道外移出も変動し、脱脂粉乳等の製造量と在庫量に大きな影響を与える。

【北海道の生乳需給(17年度) 】


【生乳・飲用牛乳の道外移出動向 】

飲用牛乳等の消費が減少する中で、生乳の安定需要を確保
 近年、茶系飲料を始めとした飲用需要の多様化や少子・高齢化等から、飲用牛乳等の消費が減少傾向にあり、脱脂粉乳やバター等の乳製品向けの生乳が増加し、これらの在庫が適正量を上回った。このため、全国の生乳計画生産を推進する(社)中央酪農会議では、平成18年度から12年ぶりの減産型計画生産に取り組んでおり、本道の農業団体も平成18年度は前年度実績比97.97%の計画生産を実施した。(実績97.20%)

 生乳の減産型計画生産は、過去にも何度か取り組まれてきたが、今回は、これまでのように牛乳・乳製品の一時的な需給調整と異なり、我が国の人口減少と少子高齢化という人口動態の変化が背景にある構造的な需給緩和と見られ、今後、これに合わせた生乳及び牛乳・乳製品の生産構造の変革が求められる。

 このような中、道内の生産者、農業団体及び大手乳業メーカーは協力し合いながら、年々増加している生クリーム等液状乳製品向けとともに、国際競争力が期待できるチーズ向け生乳を増産することで、本道生乳の安定的な需要を確保する取組を開始した。
 また、これにより、平成19年度も全国的には減産型計画生産が継続されるが、本道は20年度以降の本格的なチーズ増産に向けて生産基盤を強化するため、増産型計画生産に転換することとなった。

新たな生産構造への対応
 チーズ向け生乳は、全ての用途の中で最も低い価格であるが、国内の生乳総需要量の約2割を占め、その8割以上が輸入品である将来的にも需要が期待されている用途である。この市場を安定的に確保するためには、「味」と「価格」が鍵であり、乳業メーカーの製品開発や製造コストの削減努力はもとより、生産者も輸入品との置換えを可能とする価格で良質な原料乳を安定供給することが重要である。

 時々「牛乳・乳製品が売れないのは、乳業メーカーの努力が足りないからだ」という声を耳にするが、市場経済が発展した現代社会において簡単に売れて儲かるなら、誰もが製造・販売に参入し、もっと供給は増加するのが道理である。牛乳・乳製品の安定需要を確保するということは、生産者や乳業メーカーのどちらか一方に責任や負担を偏重させることなく、生産・製造・販売に携わる関係者が国民に良質で魅力的な牛乳・乳製品を供給するという同一目標に向かって責任と負担を担い、協力し合いながら取り組むということである。原油価格や資材価格等が高騰し、生乳の生産コストや牛乳・乳製品の製造・販売コストが増加する中、収益が下がる決断を避けたいのは十分理解できるが、

1.生産現場は、輸入品と勝負して新たな生乳の需要先を確保する選択をしたことを認識し、生産コストの削減による所得の確保に努めること、
2.指定団体は、少しでも高く売れる用途向けの生乳販売量を拡大すること、
3.乳業メーカーはあらゆる努力を惜しまず市場を確実に確保すること、
4.行政はこれらを国民の理解が得られる形で施策として支援すること
がそれぞれの役割と考えている。

 また、チーズばかりに拘らず、消費者が魅力を感じるような多様な飲用牛乳等を生産できるよう、恵まれた土地資源を最大限活用した自然調和型の酪農を確立することにより、ブランド力のある生乳生産に努めることが将来に向かって大切と考えている。