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No.2 『牛乳に相談だ。』キャンペーンの意図するところ 社団法人中央酪農会議 事務局長 前田 浩史

5年かけてじっくり牛乳離れに歯止めをかける
(社)中央酪農会議は、飲用牛乳の消費拡大を目的とする『牛乳に相談だ。』キャンペーンを2005年7月末にスタートさせた。実施予算は、全国約2万8,000戸の酪農家からの拠出金を中心に一部、国からの補助金を合わせ、年間10億円弱。牛乳の消費低迷が深刻化するなか、本年度から5年かけてじっくり成果を得ようというものだ。

キャンペーン発足の背景には、長期的な牛乳消費量の減退という問題が横たわっている。完全栄養食品として古くから日本人の食生活に根づいてきた牛乳だが、1995年以降、消費減少化が顕れ、その傾向は2003年以降、さらに顕著になる。昨年1〜10月の牛乳消費は、前年同期比で3.8%の減少。消費減退は依然歯止めがかかっていないことを示唆している。こうした牛乳需要の伸び悩みには生産者の間でも不安が広がっており、一刻も早くこの厳しい酪農情勢から抜け出したいとの思いは強い。

ターゲットを、男女中高生に絞り込む
『牛乳に相談だ。』キャンペーンの最大の特徴は、ターゲットを中高生にはっきりと絞り込んだことにある。中学時代まではしっかり牛乳を飲んでいても、高校生になると消費量は大きく低下し、その傾向は年々強まっていくというのがこの層の特徴である(図1)。キャンペーンは、牛乳需要を将来にわたって長期的に支える、こうした若年層の牛乳離れ傾向に緊急的に対処するため、対象となる中高生のコンタクトポイントを利用したコミュニケーションをマスメディアのみならず酪農家や乳業者も一体となって徹底的に追求していくという、従来にないマーケティング戦略のもとに実施されている。


中高生を意識したコミュニケーションの最適化を狙う
これまでの牛乳消費拡大キャンペーンは、消費者の健康志向に牛乳の恩意を訴えるものだったが、今回の『牛乳に相談だ。』キャンペーンは、牛乳への関心度が極めて低い中高生に、まず「牛乳を身近な存在として感じてもらう」ことを主眼においている。基本戦略の中核は、ターゲット特有の生活行動上での情報の接点(コンタクトポイント)を利用したコミュニケーションプラン、つまり中高生たちが24時間行動するなかで関わるもの、場所を利用した集中的な情報伝達にある。

また、牛乳に対してネガティブなイメージを持つ中高生にポジティブなイメージを抱かせるには、広告表現はあくまでも彼らの関心を惹くもの、牛乳を身近な存在として認識するもの、であることがポイントとなる。そのため、テレビCMやポスターなど全ての表現は、中高生が「右脳」で牛乳が親しみやすい飲み物であると「感じる」よう、繊細な配慮が施されている。牛乳の効用・役割に対し「理解を深める」ための「左脳」への多角的なアプローチは、彼らの脳の中で牛乳がポジティブに息づいてきたときにこそ積極的に行うべきである。こうした観点のもと、考えうるあらゆるコンタクトポイントを利用して、表現とメディアプランニングとの最適の掛け算を最大限に高めていくことを目指している。

ロゴマークには、相談したくなる頼もしい商品に成長してほしいとの願いを込めて
全てのコミュニケーションを括っているのが、キャンペーンの名称にもなっている『牛乳に相談だ。』というタグラインと乳牛の乳房をデザインしたロゴマークだ。ブルーに白地の文字を配したこのマークは、gyunyu.comのURLと常にセットで提示される。現在の牛乳のイメージを学校のクラスの生徒にたとえると、真面目で優秀ではあるが面白みがない生徒。それを相談したくなるような、悩みを受け止めてくれるような頼もしい存在に育てたいという願いが『牛乳に相談だ。』には込められている。

大好評を博したテレビCMと駅貼りポスター
中高生の生活のなかで最も接触時間の長いテレビCMと、最も効率の良いコンタクトポイントの一つである交通広告には、キャンペーン予算の多くを投入しての展開となった。

テレビCMは、「バスケ篇」と「シンデレラ篇」の2作。中高生に楽しんでもらえるシンプルで解り易いユニークな内容が特徴。2005年8月、首都圏を中心に、九州や名古屋・大阪・高知・岩手などで放映された。牛乳の恩意を連想させるコピーとロゴが入った19種の異なる駅貼りポスターは、全国の各主要都市で展開。中高生の集中する渋谷や新宿、池袋駅では集中貼りも実施された。掲出場所と貼り方は徹底的に拘っている。掲出の効果を最大限に追及するため、まず約1億円規模の駅貼りではそれぞれの掲出位置を分析。次に、ターゲットが接触する瞬間の心理を熟慮し、コピーと組み合わせながら、1か所1か所掲出指示を出した。「イライライライラ」の文字が数メートルにも並ぶポスターの連張りで意表をつく掲出も実現させた。

ターゲットの心理を加味したこうした手の込んだコミュニケーションは、広告専門誌や中央酪農会議が実施した効果測定調査の数字上で確実に評価として顕れている。2005年8月末にインターネット上で行った効果測定では、東京10代の「バスケ篇」認知度は79.5%、「シンデレラ篇」も70.3%と双方とも高いスコアを獲得。また、コスト効率では、駅貼りポスターがテレビCMと肩を並べるくらいの高い数値をマーク。こうしたマス広告と多角的なコンタクトポイントでのコミュニケーションとの相乗効果により、10代男女のキャンペーン認知度は63.1%にものぼった。広告専門誌も『牛乳に相談だ。』キャンペーンを高く評価しており、月刊『広告批評』9月号では、創造性の高いテレビCMや話題性の高いグラフィック広告に贈る「今月のベスト5」にこのキャンペーンを選出。また、首都圏の一般消費者のCM反応効果等を調査する『CM INDEX』では、「バスケ篇」が総合7位、ドリンク系CMでは2位にランクインされた。

あらゆる場所で『牛乳に相談だ。』
コンタクトポイントをさらに多様化するため、2005年8月に多くの中高生が集中する渋谷駅ハチ公前広場において、大型屋外広告と3大ビジョンでのテレビCM放映を実施。翌9月には、学習塾(首都圏内71校舎の「河合塾」と提携)、カラオケ店(全国71店舗=総計3,341ルームの「歌広場」と提携)等へのポスター掲出も行われた。さらに、関東4県221中学校、全国51中学校・高校でもポスターの貼付やサンプリングが実施されている。ポスターは、ターゲットの目線で伝えることを重視し、全てそれぞれの場所にあわせたコピーによるオリジナルである。
ターゲットは、携帯電話やWebサイトなどのサイバーメディアにも始終接している。7月20日オープンしたキャンペーン専用サイト(gyunyu.com)には、「中高生が気軽に相談できる場」というコンセプトのもとに、メインコンテンツである何でも相談できるコミュニティ「相談牧場」の他、ゲームや占いコーナー、牛乳の効能を楽しく学べる「青春4コママンガ」や「牛乳必要度チェック」も盛り込まれている。

前述したように、全国の酪農家一人一人も「牛乳の良さを伝える伝道師」として、自分たちの手や足で中高生とのコンタクトポイントを開拓している。酪農家は、Tシャツ、シール、携帯電話クリーナー、車両等用ステッカー、学校教育や健康教育にも活用できるテキスト等、様々なツールを活用して、酪農家の日常生活や牛乳祭りなどのイベントを通じて、PRに力を注いでいる。11月初旬に栃木で開催されたホルスタイン全国共進会の会場でも、関東の酪農家を中心に大々的なPR活動が展開された。また、乳業メーカーにも、牛乳パックに『牛乳に相談だ。』のマンガ、ロゴ、キャッチコピーなどの広告を掲載してもらい、一般消費者への認知度アップに一役買ってもらっている。
ターゲットを絞ったり、コンタクトポイントを業界挙げて開拓したりするなど、今までにない新しい試みだけに、その効果に対する期待が大きいだけではなく、他業界からも注目されている。いずれにしても、酪農家の汗により産み出された貴重な財源により実施されるキャンペーンでもある。是が非でも牛乳消費拡大の成果を挙げなければならない。