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酪農総合研究所 Research & Development Center For Dairy Farming

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酪農総合研究所

広報「酪総研」

時の話題

No.1 新生酪総研の発足にあたって 雪印乳業株式会社 酪農総合研究所 所長 土井 時久

設立後30年にわたる(株)酪農総合研究所は、さる4月27日に一旦、その幕を閉じました。代わって雪印乳業(株)内の研究所として、再出発することなりました。これまでの酪総研の研究は本来もつべき公平性、普遍性を貫いてまいりました。この点は、今後もつねに重視する所存です。皆様の変わらぬご支援をお願い申し上げます。

これまでは月刊機関誌『酪総研』を発行し、主に会員の皆様にお読みいただいておりましたが、あらたな酪総研では会員制度がなくなりました。それに代わる情報提供手段として、このホームページを設けることと致しました。その内容は大きく以下の3つに分かれます。

第一は、酪農に関する折々の問題に対する酪総研および専門家の見解ないし政策提言です。必ずしも研究機関としての酪総研の主張に限らず研究所外の貴重なご意見もひろく提示する場としたいと考えております。
第二は、酪農家ないし酪農経営にかかわっておられる皆様に技術的ないし経営的な新情報を提供することです。試験・研究にあたっておられる方々の研究紹介などを主な内容としております。
第三は、酪農経営にかかわっておられる方々のユニークな取り組みの紹介です。日本全国を見渡しただけでも酪農経営のありかたは多様です。稲作の場合は、生産技術が標準化しており、大規模経営や集団営農もみられるものの、多くは兼業稲作です。酪農はそうではありません。やりかた次第で「楽農」になったり「落農」になったりします。各地の酪農経営条件も多様です。そのなかで与えられた条件を巧みに生かしたすばらしい経営事例をご紹介したり、酪農家の生の声をご紹介したいと考えております。

これらの内容は、従来の機関誌『酪総研』にも盛り込んでいたものです。いずれこれまでの機関誌の内容をホームページでご紹介することを計画しております。今後のページとあわせてバックナンバーにもご参考になる記事があるはずです。ご活用をお願いいたします。

だいぶ硬い内容となって、お読みの皆様にはすでに退屈というお気持ちかと思います。前回のホームページは新所長、つまり私のこれまた固い挨拶だけでした。*1 実は私は酪農研究の専門家でもなければ乳業界の重鎮でもありません。農業経済学を一書生のような態度でポツポツと学んできただけの研究者にすぎません。が、それでも酪農をキョロキョロみていると面白いことに出くわして「楽農学」をやっているような楽しい気分になります。

農業基本法が施行されたのは昭和36(1961)年でした。当時、酪農・畜産は需要増加の見込まれる部門で「選択的拡大」の対象となっていました。その後の草地造成は大変なもので、国有未墾地を主として大々的な草地開発がなされました。とりわけ北海道での草地開発は急速に進みました。下の図をご覧ください。これは基本法制定以後の北海道での草地造成の趨勢を示したものです。

図:草地面積と累積草地開発面積(ha)(北海道)

図中の累積草地開発面積は年度ごとの草地開発面積(その多くが国ないし道営事業)を継ぎ足したものです。それが既存の草地面積をそっくり上方へ押し上げた格好の図です。国営事業は北海道に関しては補助率百パーセントの時代がながく続きました。おかげで北海道の酪農は一変し、道東の新酪農村計画などによって各地に酪農地域が形成されます。*2

農業基本法のもとでの日本農業がいかなる道をたどったかに関する研究も数多くあります。北海道のみが農業基本法の精神を実現した優等生といわれることもあります。さて、新農基法のもとでわが国の酪農はどんな道のりをたどるのでしょうか? 預言者ならぬ私には予測不能です。しかし、グローバリゼーションの進展や産業間の競争激化、効率性を何より重視する構造改革の動きのなかで、日本の酪農はボヤボヤしていると二階に上がってハシゴをはずされかねない危うさを感ずるのです。

*1:ここだけのハナシです。あの新所長挨拶につける写真について私は乳牛に大きな舌でナメラれているのがいい、と主張したのです。しかし、そんな前例はないと却下されました。またこの欄に登場するチャンスがあれば是非とも実現したいものです。

*2:よいことづくめではありません。ゴールの見えない規模拡大と負債の増大で道内各地にそびえるサイロは負債の象徴とまでなってしまいます。